BAS主催UCSFセミナー 3月10日(金)午後7時〜

【BAS主催UCSFセミナー 3月10日(金)午後7時〜】

3月10日(金)に開催のUCSFセミナーでは、長らくBAS幹事をして下さっていたUCSFの平野有沙さんと鹿島理沙さんに御講演いただきます。

平野さんはUCSF, Department of Neurologyにおける研究で睡眠・覚醒サイクルについての興味深い成果を出されてきましたが、このたび日本にポジションを得てご帰国されることになりました。ご帰国直前で慌ただしいところ、UCSFでされてきたご研究についてお話しいただきます。
鹿島さんはCVRI-UCSFにおいてBMPシグナリングに着目した研究を進めてこられ、近年は脆弱X症候群の新規病態発症機構を同定されました。最近は薬剤スクリーニングの確立へと更に研究を発展されており、この機会に最新の研究成果についてお話いただきます。

両講演の要旨は追ってお知らせいたします。
みなさま、奮ってご参加ください。


講演−1:「睡眠・覚醒サイクル制御の理解に向けた遺伝学的アプローチ」
講演者:平野 有沙 (Arisa Hirano, Ph.D.)
所属:Department of Neurology, UCSF

「睡眠・覚醒サイクル制御の理解に向けた遺伝学的アプローチ」(平野 有沙)
良質で十分な睡眠は生命活動の維持に必要不可欠である。私たちの体は、短時間の断眠であっても身体・精神的な不調をきたし、断眠状態が持続すると最終的には死に至る。適切な睡眠・覚醒リズムのタイミング(睡眠位相)は生物が備える体内時計 (概日時計) によって決定される。我々はこれまで、ユニークな睡眠パターンを示すヒト家系を用いた順遺伝学により、睡眠リズムを制御する分子メカニズムを明らかにしてきた。例えば、時計遺伝子PER3遺伝子のPro415Ala/His417Arg変異は睡眠位相前進症候群および季節性鬱病の発症と強く相関する (Zhang, Hirano et al., PNAS, 2016)。一方、睡眠位相前進を示す別の家系においてCRY2遺伝子のAla260Thr変異を同定した。Ala260はCRY2の補酵素であるFADの結合ループに位置し、このミスセンス変異によってCRY2の分解が促進した (Hirano et al., eLIFE, 2016)。さらに、FADがCRYのユビキチンE3リガーゼと競合してCRYを安定化することを見出し、FADによるCRYを介した概日時計の制御機構を明らかにした (Hirano et al., Cell Report, in press)。本セミナーでは、UCSFでの3年間の研究成果とともに、“24時間型社会”と呼ばれる現代社会における睡眠・概日時計研究について議論したい。



講演−2:「脆弱X症候群新規薬剤探索系の構築」
講演者:鹿島 理沙 (Risa Kashima, Ph.D.)
所属:Akiko Hata Lab, CVRI-UCSF

「脆弱X症候群新規薬剤探索系の構築」(鹿島 理沙)
脆弱X症候群(Fragile X syndrome, FXS)は遺伝性の知的障害で、X染色体上に存在するfragile X mental retardation 1 (FMR1)遺伝子の発現消失または、変異に起因する。発症率は、男性では1/4000、女性では1/8000であり、精神発達障害、知的障害、情緒不安定、注意欠陥と多動性、自閉症様症状の他、長い顔・大きな耳・扁平な足等の身体的異形成が見られる。現在のところ、治療法は無く、治療薬の開発が望まれている。FMR1によりコードされるFragile X mental retardation protein (FMRP)はRNA結合タンパク質で、標的mRNAに結合し翻訳を抑制することで、標的タンパク質の量を制御している。これまでに数々のFMRP標的分子が同定され、創薬及び臨床試験が試みられてきたが、FXS治療には至っていない。その原因の一つとして、FXSの症状を反映し薬剤効果を評価するのに適した動物モデルを用いた有効な薬剤スクリーニング系が樹立されてないことがあげられる。
我々は、昨年FMRPの新規標的分子として、bone morphogenetic protein receptor type 2 (BMPR2)を同定し、そのシグナル伝達下流分子であるLIM-kinase 1 (LIMK1)がFXSの治療標的分子となることをFXS病態モデルマウスを用いて証明した (Science Signaling, 2016)。さらに最近、FMR1変異ショウジョウバエの幼虫の行動解析に基づいたFXS新規薬剤探索系を構築し、新たなLIMK1阻害剤がFXS治療薬候補となることを見出した (Science Signaling, in press)。本研究により、FXS治療薬開発が加速されることが期待される。


日時:3月10日(金曜日)午後6時40分開場、7時講演開始
会場:UCSF, Mission Bay Campus, Genentech Hall N114(1階)
   600 16th St, San Francisco, CA 94158

参加費:$5(軽食を用意します)、学生無料

準備の都合上、参加希望の方は3月8日(水)までに城戸達雄までお申し込み下さい。

会場の案内:建物の入り口(扇形の階段の左下)に警備デスクに繋がるインターフォンがあります。入り口を開けてもらい、建物中央にある警備デスクで入館手続きを済ませて下さい。
建物に入る際にPhoto IDの提示を求められますので、運転免許証などの身分を証明できるIDをご持参下さい。
BAS UCSFセミナー(3月10日)開催報告

 3月10日に開催のUCSFセミナーでは、UCSFで長く幹事をしてくださっていた平野有沙さんと鹿島理沙さんにお話いただきました。
 タイムシフトワークに従事すると病気に罹りやすくなると言われています。遺伝的に睡眠・覚醒リズムが崩れている人の中には、季節性鬱病を発症しやすいケースもあるそうです。平野さんの御講演では、そのような家系を解析して見つかった変異が、体内時計を司る分子メカニズムの異常にどう関わっているか、最新の研究成果を交えながらお話いただきました。中心的役割を担うCRYタンパクの安定性がリボフラビン誘導体FADで調節されているなど、体内時計の仕組みの複雑さと面白さを垣間見た気がしました。
 神経細胞の異常によって引き起こされる脆弱X 症候群にはX染色体上にコードされるFMR1遺伝子の変異が関わっているため、X染色体を一つしか持たない男性に発症率が高いそうです。鹿島さんの御講演では、この病気に有効な治療薬を見つけるために、FMR1遺伝子に変異をもつショウジョウバエの幼虫を使ったドラッグスクリーニングのシステムを構築するまでについてお話いただきました。有効な薬剤の場合はFMR1変異幼虫も野生型と同様な活動を示すのですが、例えば幼虫の行動をiPhoneで撮った動画から解析できるプログラムを作って貰うなど、様々な分野の人達の協力を得ながら研究を推し進めるバイタリティとマネージメント力が新しいシステムの構築に大切であることを再認識させられました。
 今回のセミナーの参加者は40名(うち学生一人)で、トピックの興味深さからか、遠方からも多くの方にご参加頂きました。
 長い間BAS幹事として会の運営にご尽力くださったお二人に、この場をお借りして改めてお礼申し上げます。今後の更なるご活躍をお祈りいたしております。

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ベイエリアセミナーとは
Japanese San Francisco Bay Area Seminar は生物学・医学に関するセミナー開催を中心的な活動として研究者支援を行っている非営利団体です。

 
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