UCSF セミナー 6月6日(水) 午後7時

東北大学病院・脳神経外科の中川敦寛さんに、「最大限の病変摘出と機能温存を両立するあたらしい手術用治療機器(パルスジェットメス)の開発:シーズから臨床試験で経験した3つの壁」という演題でお話しいただきます。中川さんは脳外科医として医療の現場に立ちながら、術後の機能温存をより良くしようと手術用治療器の開発にも力を注いでこられました。現在は東北大学未来医工学治療開発センター 冨永・セイコーエプソン研究室のプロジェクトマネージャーとして製品化や新しいアプリケーションの開拓などに取り組まれています。シーズから臨床試験そして製品化に至るまでの道のりについてのお話は、普段は医療に直接関わる機会がない方にとっても非常に興味深いものになると思います。
 また、当日は東日本大震災の折に東北大病院の救命センターで指揮をとられた古川宗さんもご一緒ですので、震災の際のマネージメントについても皆様とお話しする機会を持っていただけます。
 普段のセミナーとはやや傾向の異なる内容ですが、幅広い分野の皆さまの参加をお待ちしております。

日時:6月6日(水曜日)18:30開場、19:00講演開始
   (講演の後に簡単な懇親会を予定しています)
場所:UCSF Mission Bay Campus, Genentech Hall, Room N114 (1階)
    UCSF campus Map
建物に入る際にPhoto IDの提示を求められますので、運転免許証などの身分を証明できるIDをご持参下さい.
演者:中川敦寛 (Atsuhiro NAKAGAWA, MD, PhD)
所属:東北大学病院 助教(脳神経外科/高度救命救急センター)
演題:最大限の病変摘出と機能温存を両立するあたらしい手術用治療機器(パルスジェットメス)の開発:シーズから臨床試験で経験した3つの壁
参加費:$5(軽食と飲み物込み。当日、受付で集めます)・学生は無料

準備の都合上、参加を希望される方は6月4日(月)までに「お名前」と「ご所属」を担当幹事の城戸までご連絡下さい。

会場の案内:建物の入り口(扇形の階段の左下)に警備デスクに繋がるインターフォンがあります。入り口を開けてもらい、建物中央にある警備デスクで入館手続きを済ませて下さい。
講演要旨:
 外科手術では、病変を最大限摘出すること(→生存期間の延長)と機能温存(→治療後の生活の質の維持)の両立が理想ですが、現在われわれ外科医が用いている手術用治療器(高周波や超音波を使用するものが大半です)を用いた手術では、この二つの概念は相反することがしばしばあり、両立には職人芸を要します。また、熱損傷の問題や、内視鏡などの低侵襲機器への導入が難しい、といった問題点もあります。パルスジェットメスは最大限の病変摘出と細血管の温存により術後の機能温存も期待し得る新しい手術機器として10年以上にわたる医工連携により開発を進めてきたクラス3の新規手術用治療器です。
 1990年代後半に全く別の研究の産物の医療応用として研究がはじまり、医療機器の基本技術にフィットさせるための工学実験の段階(2000年~)、動物実験の段階(2002年~)、臨床試験の段階(2004年~)を経て、2011年には難易度の高い下垂体の手術で、従来の方法と比較して病変の摘出率の増加、出血量の減少、手術時間の短縮効果を英文誌および米国脳神経外科学会で報告し、2011年4月より経済産業省の委託事業に採択され、薬事認可申請に向け、他機器との差別化、操作の快適性、安全性、市場戦略に関する課題を明確にし、解決を進めるべく、2011年末より多施設臨床試験を開始しております。さらには、脳外科では市場は極めて小さいため、開発拠点を設立し(東北大学TRセンター)、9科の先生方に入っていただき(2011年8月開発推進コンソーシアム設立)、開発推進実験とカンファレンスを行いながら、新しいアプリケーションの開発に分野横断型医工学連携プラットフォームBASIC(http://basic.umin.jp)のメンバーを含めて産学50名以上の方々の力をあわせて取り組んでおります。
 これまでの開発過程では、主に3つのハードルがありました。1.工学実験、動物実験から臨床試験への移行、2.臨床でのfeasibilityに出てからのゴール設定、3.製品化、薬事承認(現在)。現在進行形ではありますが、これらのハードルをいかに越し、患者さんの手元まで届け、社会貢献レベルの研究にするかは、研究者の共通する課題であると思います。多くの失敗からなるわれわれの経験をシェアさせていただきながら、新しい価値観、市場の形成を含めてdiscussionできれば幸いです。

講演者略歴:
1998年4月 東北大学医学部附属病院 脳神経外科 医員(初期研修医:大学病院脳神経外科 / 広南病院脳神経外科 / 同脳血管内治療科 / 同神経麻酔科)
1999年4月 山形県立新庄病院 脳神経外科(初期研修医)
2001年4月 東北大学大学院医学系研究科(博士課程)東北大学流体科学研究所 衝撃波研究センター(高山和喜教授研究室)(研究)
2003年7月 いわき市立総合磐城共立病院 脳神経外科(医師)
2004年5月 広南病院 脳神経外科(医師)
2005年3月 東北大学病院 脳神経外科(助手)
2005年4月 仙台市立病院 脳神経外科(医師)
2006年10月 東北大学病院 脳神経外科/高度救命救急センター(助教)
2008年8月~2010年7月 
Department of Neurological Surgery/ Brain and Spinal Injury Center, University of California, San Francisco(Neurotrauma Clinical Fellowship / Postdoctoral Scholar)留学
2010年8月 東北大学病院 脳神経外科/高度救命救急センター(助教)
2011年4月 東北大学流体科学研究所共同研究員
2011年6月 東北大学未来医工学治療開発センター 冨永・セイコーエプソン研究室 プロジェクトマネージャー(4S 03 / 4N 04)


★セミナー報告★
今回のセミナーでは、中川さんに、パルスジェットメスを思いついた段階から、いかにチームを築き上げて臨床試験まで漕ぎ着けたか、ご自身の失敗も交えてステップごとに分かりやすくお話しいただきました。日本で使われている手術機器の大部分が海外から輸入されているという現状の中、今までの機器と比べての利点に留まらず、手術そのもののコンセプトを提案するという立場で、多くの企業や医療機関と連携を取ってプロジェクトを進めていく戦略は非常に興味深いものでした。参加者からは臨床に関することだけでなく様々な質問が飛び出し、講演後も活発な議論が続きました。
大学のみならず企業の方の参加も多く総勢33名の会となりました。
UCSF_2012_0606_1.jpg

UCSF_2012_0606_2.jpg

ベイエリアセミナーとは
Japanese San Francisco Bay Area Seminar は生物学・医学に関するセミナー開催を中心的な活動として研究者支援を行っている非営利団体です。

 
賛助会員一覧
こちらの企業の皆さまに活動をご支援いただいています (アルファベット順)

・ CarnaBio USA
・ SanBio
・ TORAY
 
カテゴリ
 
リンク
 
最新記事
 
月別アーカイブ
 
検索フォーム
 
RSSリンクの表示
 
QRコード
QRコード